日本での忙しい実習の日々にベトナムのお正月が近づいていることに気づかないこともあるかもしれませんが、気づいたら「もう来週はベトナムのお正月だ」と思って、ベトナムにいる家族のことは普段より懐かしくなると思います。この時期、ベトナムでは家族がお正月に向けて、準備が賑やかに進んでいるでしょうね。今年は家族と離れて、一緒にお正月を迎えることが出来ないですが、KAIZEN便りにお正月の習慣を掲載しますので、日本にいる皆さんは知り合いの日本人に紹介してお正月の気分を分かち合いましょうね。
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【旧正月の意味】
ベトナムでは「テト」は一年中で最も大切な行事です。ベトナム人はどんなに成功して立派になっても、「テト」には両親のもとに帰り、家族とともに過ごすことが大切な習慣となっています。
宗教的にも「テト」の期間には祖先の魂が帰って来て、現世の子孫と一緒に新年を迎えると考えられており、祖先にご馳走するため仏壇に毎日お正月料理を供え、祖先が食べた後、祖先からの贈り物として家族が食べる習慣なのです。テトの間に先祖にお礼を伝え、幸せな新年を祈ります。
1) かまどの神様を天に送る吐君節
ベトナムの台所には女神一、男神ニの三神の「かまどの神様」がいて、各家庭の守り神になっています。神様は旧暦12月23日に、各家庭の1年間の善悪を鯉に乗って閻魔大王に報告に行くとされています。各家庭では、神様が大王に会いに行くのに必要なもの(紙で作られた神様の冠、靴、お金など)を庭先で燃やし、河に鯉を放す習慣があります。年を越す前に旧暦12月30日にかまどの神様の戻りを迎えます。

2) テトの花
テトの時期になると、町のあちこちで花市場が立ちます。ベトナム北部ではピンク色のホアダオ(Hoa Dao桃の花)、南部では黄色のホアマイ(Hoa Mai梅の花に近い花)がテトの象徴花として各家庭の軒先に飾られます。テト中に満開になると吉兆とされています。ホアダオやホアマイの木に吊るす正月飾りは金と赤で彩られます。
そのほか金柑もお金がたくさん入ってくるように軒先に飾られます。

3) 送旧迎新
送旧迎新の習慣は新年を迎える為年末に家や庭を掃除したり、仏壇を飾ったり、元日には新しい服を着たりします。古いものを捨てて新しいものを買い入れる習慣もあります。
良い新年があるように、年越し前、両親が子供に喧嘩しないことや縁起の悪いことを言わないこと、笑顔で回りと挨拶することなどを注意する習慣が現在まで厳しく守られています。テトは、おめでたい日です。けんかしたり、悪口を言ったり、マイナスのことはいけません。そうしないと、その年が不幸な1年になってしまうからです。
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4) 初詣
日本と同じようにベトナムも初詣の習慣があります。お寺でお線香を焚き、新年の願い事を祈ります。お寺でおみくじを引く習慣もあります。

5)バインチュン・バインテット(お正月ちまき)
テトで欠かせない食べ物はバインチュンやバインテットです。いずれもお正月ちまきですが、北部の方はバインチュンという四角形のちまき、南部はバインテットという丸くて長い形のちまきです。バインチュン・バインテットは餅米で出来た皮にグリーン豆と豚肉を入れ、それを緑葉で包み、10時間から12時間ほどゆでた伝統的な食べ物です。かなり日持ちするため、日本のおせち料理のように保存食として楽しめます。
地方ではお正月が近づいたら、家族が集まって、一緒にバインチュン・バインテットを作り、長い茹で時間は家族の一年に起こったことなどを語り合ったりする楽しく過ごす大切な時間なものです。都市部では便利性を優先させ、スーパーなどで買ってくるのがほとんどです。

6)互いに訪問してお祝い
お正月には親族、友人宅などに訪問して、お祝いします。
その年の一番初めに、家に来る人で1年を占うような考え方があり、元日最初に訪問される人がとても大事な人です。良い人(成功した人、明るい人など良いイメージの人)が来れば、その年は良い年になります。その逆に、悪い人が来ては困るので、身内に不幸があった人などは、絶対に訪問しないのです。そのため、偉い人や尊敬する人に訪問してもらうように頼む習慣があります。
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7)お年玉
日本と同じで、お年玉の習慣があります。元旦には、子供や孫が祖父母や年配者の長寿を祝い、大人は赤いお年玉袋を子供に与え、健やかな成長を祝います。
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技能実習生の皆さん、
日本のお風呂、公衆浴場や温泉を使ったことがありますか。
皆さんが住んでいる寮がほとんどお風呂がついていると思いますが、ベトナムの習慣はシャワーなので、お風呂にはなかなか使い慣れませんでしょうね。
アパートについているのはお風呂でそれより大きくしたお風呂のあるところは公衆浴場と温泉があります。
日本の冬にはお風呂が欠かせません。日本のお風呂の使い方を一緒に習って是非お風呂を使ってみてくださいね。
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1)お風呂
日本のお風呂は、お湯を溜める部分と体を洗う部分と構成されます。お湯を溜める部分(湯舟)は、体を温めるために使うもので、決してこの湯舟の中で体を洗ったり、体に付いた石鹸を洗い流してはいけません。お風呂の使用方法は、一度お風呂で体を温め、外に出て体を洗い、お風呂の湯を桶で汲みだして体にかけ、体に付いた石鹸等をよく洗い流し、再び体を温めるために湯舟にはいります。また、夏など汗をかいたり、体の汚れる仕事をしたときは、湯舟に入る前に体をよく洗ってから入ります。
日本の家庭では、家族の何人かが順番にお風呂を利用しますので、先にお風呂を使った人が、後に使う人のためにお湯を決して汚さないよう配慮しているのです。ですからタオルを湯舟に入れるのも禁止です。
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日本のお風呂も使い慣れると大変気持ちのよいものです。特に体を温めると、血液の循環をよくし、健康にもよいばかりか、一日の疲れがとれ熟睡できます。毎日お風呂に入る習慣を身につけましょう。それから、お風呂で髪を切って流す人がいますが、排水管が詰まる故障の原因になりますので、絶対にやらないでください。
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2)公衆浴場・温泉
また、家庭のお風呂を大きくしたところとして、公衆浴場・温泉などがあります。日本は火山国なので、技能実習生の皆さんが滞在している地域でも温泉が出るところが多いと思います。温泉にはそれぞれ特色があり、健康に効用がありますので、上手く利用してみるのも良いでしょう。公衆浴場・温泉も基本的にはお風呂の使い方と同じで、他の人も利用するので、お湯を汚さないようにします。また、プールと違って、飛び込んだり、中で騒ぐと滑りやすく危険ですし、他の人に迷惑になるので気をつけましょう。色々な人が利用するので、貴重品などは脱衣場に置かずに鍵のかかるロッカーにいれるか、公衆浴場・温泉の受付で預かってもらってください。
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『日本の生活案内』、JITCO2010年4月発行参考