技能実習生の皆さんへ
29号では、ロンソン校長からの特別ODENをお伝えします!今回の内容は、KAIZEN学校で勉強中の学生たちへのODENですが、日本で実習中の皆さんにも役に立つ内容です。
日本に実習に来る前、どんな目標を持っていたのか、今それはどのくらい達成できているのか、その時の気持ちを思い出して読んでくださいね。
第二回 自己分析と目標設定
派遣機関ESUHAI 代表取締役社長
教育機関KAIZEN日本語学校/KAIZEN吉田スクール校長 レロンソン
以前にした「魚と釣竿」の話から(第21号)、釣竿という“nghề”(専門・スキル)と魚というお金・報酬のそれぞれの意味が分かったと思います。魚を食べた後は、おなかが満たされますが、食べればなくなってしまいます。次の日はどうなるか分かりません。釣竿があれば、一生魚を釣ることができます。魚を釣る経験を積めば積むほど上手くなります。上手くなれば、より多くの魚を釣ることが出来ます。魚をたくさん釣ることができれば、生活が安定して幸せに暮らせます。
1つの“nghề”があれば、釣竿を持っていることと同じです。専門・スキルは生活する手段となり、自分にしか出来ない専門、スキルを取得すれば、その専門、スキルが自分に幸福、栄光、富をもたらします。皆さんは、何か“nghề” を持っていますか。自分のために釣竿が欲しいと思いませんか。もしそうならば、今後、自分の“nghề”をどのぐらいの期間で、どうやって身につけるか、考えなければなりません。
1. 学生の状況
「なぜ自分の収入が低いのか?」と考えたことがありますか。学生時代あまり勉強しなかったから、仕事に適した資格や専門がないから、高い技術やコミュニケーション力、人間関係を築く力、管理力などスキルが求められる仕事のスキルがないから、仕事をしながら自分の能力を磨き学ぶ努力が足りなかったから、などの回答があります。様々な理由で、現在の皆さんの収入はまだ低いです。
次の質問は「どうすれば、現状を改善し高い収入が得られるか?」です。日本での技能実習は皆さんの現状に適した道です。
2. 日本での技能実習
誰でも家族や友達の近くに住みたいと思います。日本での技能実習という道を選んだ場合、家族と離れて生活しなければなりません。家族と離れる寂しさを乗り越えるのに必要なものはなんでしょうか。低い収入、不安定な仕事、ベトナムでの苦しい状況から、よりよい将来のために、日本で何か1つの“nghề”を身につけたいという固い目標です。
日本での技能実習プログラムを通して、日本語や日本の高い技術、仕事の進め方、ビジネスマナー、同僚や上司との人間関係など幅広い知識を身につけることが出来ます。日本で取得した知識や経験は、帰国後、皆さんの将来にとって貴重な財産となります。
3. 自分の将来のために、上記のようなことができるようにするにはどうすればよいのか?どのようにすれば日本での技能実習をチャンスとして活かすことができるのか?
☆ 貯金:毎月50,000円、3年間で1,800,000円貯金する。
☆ 日本語
職場や寮や地元の国際交流センターなどで、いつでもどこでも勉強する。移動中でも積極的に勉強する。新聞や雑誌、テレビのニュース、好きなドラマで日本語を勉強するのは効果があります。
日本語検定試験の受験勉強の時間を作る。1年目はN4かN3。2年目はN3かN2。3年目はN2かN1の合格を目指して勉強する。会話だけではなく、文書も上手に書けるように最低N2を取得する。一番高い目標はN1の取得です。
日本人と積極的に会話する。同僚や近所の人と良い関係を作る。良い人たちとたくさん交流する。悪い目的で実習生を利用する人や宗教に勧誘する人との付き合いは避ける。
☆ 仕事
単純作業でも任せられた業務をしっかり行う。簡単なことから複雑なことができるように。品質を一番重視しきちんと業務を行う。仕事に慣れてきたら生産力をアップし、効率を高めていく。
分からないことがあれば確認する。一度聞いただけで分からなければ、再度確認する。許可無しで確認せず勝手にやらないこと。
責任感を持って、全力で熱心に仕事を取り組む。早めに職場に行く。仕事を始める前に、周りを綺麗に掃除し事前準備をしておく。日本人の上司、同僚と1日の仕事を確認する。分からないことは上司に聞く。
まだ任せられていない仕事を身に付けたければ、仕事が終わってから職場に残り自分で勉強する。
勤務時間が終わるまで仕事をするではなく、1日の仕事が完成できるまで仕事をする。
達成できたことや達成できなかったこと、改善しなければならないことを日記に書いて残しておく。上司の信頼を得ることができれば、より多くの作業内容、技術、仕事の段取り、品質管理、仕事分担、商品管理等ができるようになる。仕事が上手になれば、上司の信頼が得られ、後輩の実習生だけではなく日本人の後輩の指導も任されるようになる。そうなれば、自然に日本の会社での仕事に必要なスキルを備えることができる。日記やメモで書いて記録した内容は、帰国後の仕事にとても役に立つものになる。実務経験を求める企業にとって、このメモ帳が大学卒業証明書より価値あるものだと見られる。
☆ 知識
スーパー、レストラン、駅、郵便局など、日常生活で見かけた日本人の素晴らしい行動やマナーを見習う。日本人の生活をよく観察し「ベトナム人が出来ないことを、日本人が出来ているのはなぜ?」と考える。良い本、雑誌、技術資料、絵、行ったところの写真などを集める。短い3年間の中で、日本にいなければなかなか取得できない、このように観察して知ったこと、習った知識は自分の貴重な知識スキルになる。
☆ 信頼関係
職場では上司と信頼関係を築く。職場の人が自分のことを尊敬してくれ、好きになってくれるよう努力する。自分が帰国する時、「帰らないで、もっと日本にいてほしい」と思われるように。そして、会社の人がベトナムに来る時は連絡を取り、自分の家に遊びに来るよう誘ったりすることが出来るようなよい関係を築く。周りの日本人との関係作りにも努力する。ベトナム人どうしでも友好的な関係を築き、手伝い、協力しあう。周りのすべての人とよい関係を築くことが大事。将来、仕事を応援してくれる日本人やベトナム人の親友を作るチャンスとなる。
日本での技能実習3年間がこのように出来れば、大学に通わなくてもよいぐらいの知識が習得できます。日本での3年間の経験は、ベトナムでの5年、10年、20年、もしかしたら一生あっても習得できないことかもしれません。
4. 帰国後のチャンス
日本での3年間の技能実習で得た知識や経験は帰国後、より幅広い仕事のチャンスを広げてくれます。
☆ メーカー:技術指導や通訳、労働者の育成、日本語が求められるオフィス業務、総務 など
☆ サービス分野:通訳、旅行ガイド、レストラン、ホテル、日本企業の管理職など
☆ 教育分野:日本語教師、工場での技術指導者
☆ 自営業
→ サービス業、販売ショップ
→ 機械加工、日系部品生産などの小規模の工場を作る。日本で取得した技術を応用できる製品の生産工場など
→ 友人や兄弟と協力して経営する
→ 日本で3年間実習した企業と協力して工場を立ち上げる
最後に:
皆さん、日本での技能実習制度を通してどのようなことが出来るかよく考えてください。考えてみて、やりたいことを全部書き出し、書き出した目標を達成するにはどうすればよいか考えてください。一歩一歩ずつ、日々の積み重ねで作っていきましょう。
果物は収穫できるまで、少なくても3年かかります。木を育てる時は、太陽の光をあてたり、虫を取り除いたりしなければなりません。皆さんも木を育てることと同じように、家族や友達、周りの人たちに迷惑をかけないように良くないところは改善しないといけません。そうして家族や社会の役に立つようになります。家族や社会の役に立てるようになるには、まず勤めた企業の役に立つことです。
それから、詳細な計画をどうやって立てるのか?どのように時間を使えばいいか?将来どんな仕事をしたいか?よく考えてください。より成長できるように日々考えてください。今日は昨日より成長してよくなることです。皆さんの成功と幸福を願っています。
私たちの身近には様々な音があります。日常生活に伴って発生し他人に迷惑になる音が「生活騒音」です。自分にとって「楽しい音」も他人にとっては「うるさい音」や「不快な音」となる場合があります。皆さんが出している音は大丈夫ですか?音の感じ方は人によって違うものです。自分の出した音が、周りの人に迷惑をかけていることもあります。特に夜はまわりが静かになりますので小さな音でも大きく感じます。また休みの日に実習生が大勢集まって過ごすときは、楽しくてつい大きな声を出してしまうかもしれません。そんな時は、自分たちの事だけではなく周りの事もよく考えてくださいね。
Qどんな音が生活騒音と感じられていますか?

Qどんな点に気をつけたらいいですか?
生活騒音によるトラブルを防ぐためには、相手のことを考えて日ごろから生活騒音を減らすように心がけることが大切です。様々な日常生活音の大きさを意識して、少しでも騒音を減らす工夫をしてくださいね。
掃除機・洗濯機 |
深夜の使用はなるべく避ける。 |
テレビ・ラジオ・音楽 |
夜間、早朝は音量を小さく。ヘッドホンなどを利用する。 |
人の声 |
日頃から大きな声で騒がないように心がける。窓やドアを閉める。 |
アパートの室内や階段の足音 |
下の階に響かないように静かにゆっくり歩く。 |
ドア・シャッターの開閉 |
静かにゆっくりおこなうよう心がける。 |