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日本の技術でベトナム農産品の価値向上をめざす
2014/11/16
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日本の技術とベトナムの恵まれた天然資源・豊富な人財を結びつけて経済的価値の高い農産品を市場に出す

セミナー開始前に交流する企業たち

これは、トイチェ新聞が毎日新聞(日本)と共催して11月15日、ホーチミン市で開いた“日本の技術とベトナム農産品”セミナーで100社以上の企業が熱く議論を交わしたテーマです。

栽培工程は農民にまで届いていません

ホーチミン市クチの農業合作社主任の女性のコメント:

保管技術の援助が必要

これまで合作社や他の農業団体の多くは野菜・果物の輸出するのに㎏あたり2万ドン~3万ドンもする航空便しか利用してきませんでした。船便であれば㎏2000ドン~3000ドンですが長期間の保存技術がないために航空便以外の選択肢がなく、その結果、輸出できる市場も輸出する量も限られますし価格面での競争力が低下しています。ですから、この面でのサポートがあればうれしいです。保存技術をこれから自分で研究するとすれば時間も費用も掛かりすぎます。

農業農村開発省輸入検疫センターⅡ所長によると、日本は要求の厳しい市場であるため、この国の消費者のニーズに応えるためにはベトナム版農業生産工程管理基準を適用して適切な農薬を使い適切な梱包をするとともに輸出前には放射線照射または蒸熱処理を行わなければならないということで、同所長は、「日本との協力は日本への輸出という障壁に関してだけではありません。ベトナムは、今後アメリカなど日本以外のグローバル市場で商品の競争力を高めていくためにも日本の技術やノウハウを必要としています。」と述べました。

新しい市場に1つの果物を入れるのには長い年月がかかるということからも果物の輸出量を上げることがどれだけ大変かがわかります。

2008年から2009年にかけてベトナム産ドラゴンフルーツが日本、アメリカへ輸出されはじめましたが、現在のところ年平均1,200~1,400トンしか輸出されていません。最も輸出量が多いランブータンでさえアメリカへ毎日1コンテナが出ているだけです。

一方、ポジティブな兆候としては、放射線処理を行うことで9月からライチと竜眼もアメリカ向けに輸出できるようになり、来年にはマンゴーやレッドドラゴンフルーツも輸出可能になります。

ベトナム・日本の農業協力の好事例としてAn Phu APP社社長が自身の経験を語りました。「日本人と働くには、労を厭わず責任を果たす態度が求められます。1年近くもかかってダラットの土を日本へ持ち帰って検査し、それからやっと提携を結び、ダラットの地に日本の苗を植えて奇跡の村を作ろうという目標のために手を組むことになったのです。」

同社の日本側のパートナーである合弁会社An Phu Lace社長は、野菜の栽培において日本とベトナムで最も違うのは、ベトナムの農民は自分たちがどのような化学肥料を使っているか、農薬の使用量やどのような基準に従うべきかというようなことを知らないことだと言います。

「ベトナムにも農業生産の基準があることは知っていますが、農民まで普及していません。」と同社長は言います。

“意識の再構築”が必要

商務参事官を長く務める在日ベトナム大使館公使参事官によると、日越貿易促進はここ数年さまざまに変化しています。

かつての日本企業はベトナムに進出しても大都市だけで、中小企業のことは考えていませんでしたが、最近は日本各地の自治体の代表団がホーチミン市を訪れ、農業協力について相談するほかメコンデルタの各省を訪れて地域の産物を視察しています。ベトナム側の現在の課題は商品の品質を維持することです。

ベトナム製品はまだ素朴で日本向けの輸出を行うにあたって課題はまだ多く、今後加工などについても研究していく必要があると同公使参事官はいいます。

ベトナム進出の礎とするべく、2015年度中に800万ドル規模のクール・ジャパン基金を動かして冷凍冷蔵倉庫チェーンの運営を行う合弁会社をホーチミン市に設立する予定があります。

ベトナム塩業、農林水産加工局の代表者は、この協力の成功にはベトナム企業側の意識も重要であると言います。「仕事のしかたを自分たちが持っているものから市場が必要としているものにシフトし“認識を再構築する”必要があります。」

ホーチミン市人民委員会副委員長は管理者の観点から、上述の農産品の流通は日越両国の貿易・投資の成長において重要な部分であると言います。

“ホーチミン市はハイテク農業への投資を積極的に誘致しており、ホーチミン市で長期的な営業を望む日本企業には最大限の優遇措置をとる”と同副委員長は述べました。

日本農林水産省代表は、農林水産物に関して技術は非常に重要であるといいます。

「輸送1つとってみても商品の品質に大きな影響を与えます。そのため両国の協力において技術は十分に提供しなければいけませんし、日本側はそうしたいと思っています。」

ホーチミン市ハイテク農業団地管理委員会代表の話:

技術普及センターの不足

技術の運用で効果を上げるために今必要なのは、国内企業に技術を紹介したり助言したりする技術普及センターを設立することです。企業が農薬等技術製品の成分を十分に知って適切に使うことができるようセンターは信用できる客観的な助言でサポートします。

今多くの企業がしているように、企業が各々研究し輸入品よりも安い価格で技術改良を行うのを奨励することは必要ですが、要求の厳しい市場では一般的に、製品に適した農薬等技術を使うよう求めてきますから、自分で改良、発明したものを使う場合には、それを使う前に市場のニーズと消費者の要求を知る必要があります。

ユン・トゥアン、グエン・チー

トォイチェオンライン版より

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