県内でクリーニング店運営を手掛けるホワイトウイングス(静岡市、中村真治社長)はベトナムでクリーニング事業に乗り出す。現地の起業家らと合弁会社を設立し、年内にハノイ市内に工場と店舗を開設する。国内で培った高品質のクリーニング技術を武器に現地の富裕層やホテルを顧客に取り込み、3年間で30店舗の展開をめざす。
年内をメドに設立する合弁会社の出資額は10万ドル(日本円で約1千万円)。55%をホワイトウイングス、残りを現地のコンサルティング会社や個人が出資する。
工場兼店舗はハノイ市郊外にある建物面積約2千平方メートルの空き工場を改装し、専用の洗濯機などを導入する。市街地を中心に展開する店舗で預かる衣類のほか、近隣のホテルで使う寝具、タオルも運んでクリーニングする。
工場の従業員は30人程度まで増やす計画だ。日本から社員を派遣して、クリーニング技術や製品管理方法などについて指導する。同時にベトナム人従業員も国内の工場で一定期間研修してノウハウを学ばせる。
近年経済成長が続くベトナムでは、所得向上でスーツなど高級衣料を購入する人が増えており、一定の需要が見込めると判断した。また現地ではドライクリーニングで塩素系溶剤を使う店が多いため、高級素材向けの石油系溶剤のクリーニング技術でも差別化できるとみている。
同社は県中東部と横浜市内で「ピュアクリーニング」など直営店を約75店運営するほか、フランチャイズチェーン(FC)店「美洗館」も約190店持つ。国内のクリーニング業界は価格競争の激化で市場が縮小しており、成長が見込める海外市場に打って出る。
中村社長は「現地のマネジメントと営業活動は合弁相手に任せ、技術や品質管理に注力する」としている。また、国内とベトナムは繁忙期が異なるため、ベトナム人従業員を一定期間受け入れれば人件費削減にもつながるとみている。
日系新聞2013年7月10日により