11月11日東京にて、国際協力機構(JICA)からの海外投融資について融資契約調印式が行われました。この度10年ぶりの海外投融資再開後初の案件となります。
2011年11月11日、ESUHAIが国際協力機構(JICA)からの融資を受けるための調印式が行われました。
今回の融資は当社が優秀な産業人材の育成を行うために必要となっている校舎建設等の事業拡大のための資金を、JICAから海外投融資を通じて支援いただくものです。JICAが海外投融資を行うのは10年ぶりで、ベトナムにおいてはこれまでJICAの対民間投融資の例はありませんでしたが、今回その第1号案件としてESUHAIがJICA及び日本政府より選ばれました。
ESUHAIが推進している事業「技能実習生・技術者に対する教育・派遣/紹介事業」と「ベトナム国内人材の教育・選定・紹介事業」は日越両国にまたがる下記の大きな社会開発効果があります。
・ ベトナムの若者の「自立の意識」「社会と家族に対しての責任」「長期的な視点と目標意識」を養成し、仕事・キャリアの基礎となる土台と軸を築く。
・ ベトナムの若者が日本での職務経験によって日本の職業意識や企業文化、ビジネス所作を身につけ、ベトナム国内においてさらに高いキャリアを目指していくためのきっかけを作る。
・ ベトナム高度人材が日本の企業において強い信頼関係を構築することで、日本の技術をベトナム人材へと移転し、また今後のベトナム工業を支えるリーダー人材を多数育成する。結果として、ベトナムの裾野産業を拡充する礎を築く。
→ ベトナム国内の貧困層を削減し、またベトナムのさらなる工業化・経済発展に大きく寄与する。ゆくゆくはベトナムとの関係の中での事業展開が増加する日本の産業にも大きく貢献する。
以下は11月11日の調印式について記載した記事です。
海外投融資事業、制度再開後初の案件に調印
国際協力機構(JICA)は、11月11日、ベトナム最大の民間商業銀行であるアジア・コマーシャル・ジョイント・ストック銀行(Asia Commercial Joint Stock Bank:ACB)との間で、「ベトナム国産業人材育成事業」を対象として、融資契約に調印しました。本件は、今年3月に再開された海外投融資業務を活用 し、初めて実施される事業です。新成長戦略実現2011(平成23年1月25日閣議決定)に基づく海外投融資のパイロットアプローチ対象案件として審査が 終了したことを受け、このたび融資契約に至ったものです。
調印式に臨んだ村田JICA民間連携室長、大島JICA顧問、アジア・コマーシャル・ジョイント・ストック銀行のトアン副頭取、市川JICA理事、エスハイ社のロンソン社長(左から)
本事業は、ベトナムの現地企業(Esuhai Co.,Ltd.:エスハイ社)が優秀な産業人材の育成を行うために必要となっている校舎建設等の事業拡大のための資金を、JICAが海外投融資を通じて支援するものです。支援の実施にあたっては、JICAからACBに対して融資が行われ、同銀行からエスハイ社に転貸が行われます(スキーム図参照)。
ベトナム国産業人材育成事業のスキーム図
ベトナムでは、製造業等の現場における人材の育成及および確保が、今後の更さらなる持続的な成長のための喫緊の課題として指摘され ています。現在、日本の技能実習制度のもと、ベトナムから、技能習得及および人材育成を目的として、毎年約2,500人~5,000人程度の技能実習生が日本に派遣されています。技能研修実習生 は、日本の中小企業等で2~3年間の実習を受け、帰国後、ベトナムの産業発展に貢献することが期待されています。他方、技能実習生が日本滞在期間中に技能 を十分習得するためには、派遣前の十分な語学教育と職業訓練の必要であることが、日本の受け入れ現場からも指摘されています。
これに対応 すべく、エスハイ社は、技能実習生・技術者に対する派遣前の日本語及および職業訓練を実施しており、受け入れ側の日本の企業からも高い評価を得ています。 また、エスハイ社は、中小企業を始はじめとする日本企業と幅広いネットワークを構築しており、これら企業のニーズにきめ細かく対応し、経営やカリキュラム 等に反映しています。今回のJICAの支援は、エスハイ社によるこれらの事業を更さらに拡大し、日本の技術・経験を得た優秀な産業人材の一層の拡充及び質の向上を図るものです。本事業が、ベトナムにおける産業人材育成の一つのビジネスモデルとなり、現地企業による日本型の産業人材の育成が拡大していく ことが期待されます。
また、日本企業がベトナムに進出する際、特に中小企業にとっては現地での人材の獲得が経営上の大きな課題となっています。本事業で支援するエスハイ社は、日本での実習を終えて帰国したベトナム人を、現地に進出する日本企業に紹介する事業を今後大きく展開することとしており、中小企業を始はじめとする日本企業の海外展開促進にも寄与することが期待されます。
2011年11月11日JICAホームページより
JICA、ベトナムに融資 10年ぶり投融資再開
国際協力機構(JICA)は、ベトナムのインフラ整備などへの融資を積極化する。11日には、ベトナムの人材研修施設に対する融資契約を結んだほか、近くベトナム南部の工業団地の水道事業への融資の審査を開始する。JICAが海外の投融資を行うのは10年ぶり。ベトナムは中国の人件費高騰などから生産拠点などとしての注目を集めており、日本企業の進出やインフラ受注を後押しする狙いがある。
11日に契約したのは、ベトナムの教育施設向けの融資。日本の技能実習制度に参加予定のベトナム人が学ぶ施設で、校舎整備に約2億円を融資する。ベトナム人青年がこの施設で日本語などの研修を積み、その後日本の工場などに派遣される。帰国後はベトナムに進出した日本企業を支える人材になることもJICAは期待している。
また、南部ロンアン省の工業団地の水道整備事業への融資の審査を年明けにも始める。水道や汚水の処理施設を神鋼環境ソリューションが建設する。同省は日本の中小企業の誘致を目指しており、必要なインフラを整える。融資総額は約67億円になる見通しだ。
JICAは首都ハノイの住宅用の水道整備事業にも融資を検討。ベトナム向け投融資は具体化している案件だけでも約230億円に上る。
JICAは2001年の特殊法人改革以降、海外への投融資を凍結しており、10年ぶりの再開になる。日本政府は投融資を日本企業の海外でのインフラ受注などに活用する姿勢を鮮明にしており、今年1月にJICAの投融資再開を閣議決定している。
2011年11月11日 日経新聞より
JICA、ベトナム商銀に2億円融資=10年ぶり復活、人材育成へ
【ハノイ時事】国際協力機構(JICA)は11日、「ベトナム産業人材育成事業」の一環として、同国最大の商業銀行アジア・コマーシャル・ジョイント・ストック銀行(ACB)に約2億円を融資する契約に調印した(JICAのHPに掲載したスキーム図引用)。
JICAによる投融資は、特殊法人合理化のため2001年にいったん廃止されたが、金融危機下で先細りする民間の海外投資活性化を狙いに今年3月に復活。「新成長戦略実現2011」に基づく審査が終了し、10年ぶりに政府開発援助(ODA)による投融資が実現した。
ACBは、ベトナムの人材紹介会社エスハイ社に2億円を転貸。エスハイ社は、日本語教育やマナー研修、職業訓練を実施する校舎建設に資金を充てる。このツーステップの転貸スキームにより、JICAの直接の融資リスクを軽減できるという。
エスハイ社は今後、「ベトナム産業人材育成事業」で日本研修を終えて帰国したベトナム人を、日系企業に紹介する事業を拡大する方針。JICA担当者は「特に中小企業にとって、現地での人材確保が大きな課題となっている。エスハイ社への融資により、日系企業のベトナム展開促進に貢献できるのではないか」としている。
2011年11月11日ハノイ時事より
ベトナムの銀行と融資契約に調印=JICA、再開後初
国際協力機構(JICA)は、ベトナム最大の民間商業銀行アジア・コマーシャル・ジョイント・ストック銀行(ACB)との間で、「ベトナム産業人材育成事業」への融資契約に調印したと発表した。
今年3月の海外投融資業務再開後初の契約。現地企業が人材育成のために行う校舎建設の資金を支援する。
JICAがACBに融資し、ACBが現地企業に転貸する仕組み。現地企業の教育を受けた技能実習生など優秀な人材が、現地の日系企業に就労するチャンスにもつながりそうだ。
2011年11月15日 日刊建設工業新聞より